相続の流れ
相続とは
ご存知かとは思いますが、相続とは、亡くなった方の財産や負債などをそのご家族やご親族が引き継ぐことをいいます。
誰が相続人となり、どの程度の財産を引き継ぐことができるかは民法に定められています。
ただ、亡くなった方が財産の分け方について遺言を残していた場合、民法に定められた分け方より遺言に書かれている分け方が優先されます。
そのため、遺言があれば基本的に遺言通りに財産を分けることになり、遺言がなければ民法で定められた通りに財産を分けることになります。
しかし、民法で定められた通りに財産を分けると不都合が生じる場合があります。
例えば、遺産の中に土地・建物が含まれており、相続人が2人以上いる場合、民法で定められた通りに財産を分けるとすれば、土地・建物の所有者は「共有」といって相続人2人になります。
これでは不都合が多いというような場合、相続人全員で遺産の分け方を話し合い、民法の決まりとは異なる分け方を決めることができます。
これを遺産分割協議といいます。
相続の流れ
それでは、以下、相続の流れを順番に説明します。
相続開始から七日以内
①死亡届の提出
相続開始(死亡)から7日以内に市区町村役場に死亡届を提出しなければならないことになっています。
②遺言書の捜索
先ほど説明したとおり、亡くなった方が遺言を残していた場合、遺言通りに財産を分けることになりますので、遺言があるか否かは非常に重要です。
そのため、ご家族などが遺言の有無をご存じでない場合には、亡くなった方の部屋などを捜索し、遺言がないか調べる必要があります。
四十九日法要まで
①相続人の調査
遺産を分ける前提として、誰が相続人であるかを確定しなければなりません。
「誰が相続人かなんて調べなくても分かるではないか」とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、亡くなった方にご家族も知らない子どもがいたというようなこともよくあります。
そこで、戸籍謄本などを取り寄せ、誰が相続人かを正確に調べる必要があるのです。
なお、先ほど説明をした遺産分割の話し合いは、相続人全員が参加したものでないと無効になってしまいますので、そのような意味でも誰が相続人であるかは正確に把握しておく必要があります。
相続開始から3ケ月以内
①相続財産の調査
遺産を分ける前提として、誰が相続人であるかという点に加え、どのような遺産があるかということも確定しなければなりません。
相続で引き継がれる財産には、預金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。
そこで、亡くなった方の通帳や郵便物などを手掛かりに、どのような遺産があるかという点を調査する必要があるのです。
②相続するか否かの決定
先ほど、誰が相続人になるかは民法で定められていると説明をしましたが、正確には、「相続人として相続できる人」が誰かが民法で定められています。
つまり、「相続人として相続できる人」であっても相続をしないことが可能なのです。
ただ、民法では、相続開始を知った時点から3ケ月以内に相続するか相続しないかを決めなければならないことになっています。
相続開始から4ヶ月以内
①相続財産の評価
例えば、遺産の中に土地・建物が含まれていた場合、土地・建物の価値は目に見えませんので容易に分かるものではありません。
しかし、相続税の納付が必要な場合には土地・建物の価値に応じて税金額が決まりますし、遺産分割の話し合いを行う場合においても、土地・建物の価値が分からなければ話し合う余地がありません。
そこで、相続財産の価値を確定する必要があります(評価方法は複雑ですので、評価方法の説明は省略させていただきます)。
②亡くなった方の所得税の確定申告
亡くなった年の1月1日から死亡日までにおいて、亡くなった方の所得で確定申告が必要な場合には、死亡後4ヶ月以内に確定申告をしなければならないことになっています。
相続開始から10ヶ月以内
①遺産分割
相続人の調査や相続財産の調査、相続財産の評価などが完了した場合、いよいよ遺産を分ける手続に入ります。
そして、最初に説明したとおり、亡くなった方の遺言が残っていれば遺言通りに遺産を分けることになりますし、そうでない場合には民法の決まり通りか遺産分割の話し合いで分けることになります。
②名義変更
相続財産の分け方が決まった場合、不動産や自動車、預貯金などの名義を取得する人の名義に変更する必要があります。
③相続税の申告・納付
相続財産を取得したことについて相続税がかかる場合には、相続開始を知った時点から10ヶ月以内に相続税の申告・納付をしなければならないことになっています。
大まかな相続の流れはお分かりいただけたでしょうか。
お読みいただいて気付いたことと思いますが、相続が開始すると、そのご家族は非常に多くのことをしなければなりません。
そのため、相続の流れをしっかりと把握し、早め早めに行動をすることが重要であるといえるでしょう。
立川法律事務所では、立川・多摩地域の方の相続問題の解決に積極的に取り組んでおりますので、まずは、当事務所までご相談をいただければと思います。